ケース階層の設計:傷害および疾病
ケースデザイン
自動車メーカーが傷害や疾病の報告を自動化する際の、次のような要件について考えてみましょう。
多くの企業と同様、自動車メーカーでも業務上の死亡、怪我、病気について記録する必要があります。 たとえば、従業員が職場で結核に感染した場合、病気について会社の安全記録に残さなければなりません。
死亡などの特定の極端な事象については、直ちに規制当局に報告する必要があります。 この報告は提出内容と呼ばれています。 提出プロセスと要件は国によって異なります。 一部の国では、州や県ごとに追加のルールが設けられています。 一般的に、これらのルールは国のガイドラインをより厳しくしたものです。 また、傷害の種類に応じたガイドラインもあります。 一部の傷害については、傷害専用のフィールドを入力する必要があります。 たとえば、聴力の喪失の場合、難聴の評価をデシベル単位で測定して記録する必要があります。
Illness and Injury Reportingアプリケーションでは、2つのプロセスをサポートする必要があります。
まず、怪我や病気をしたときには、必ず記録しなければなりません。 これは、工場が所在する国の規制に合わせて、ガイド付きでダイナミックにデータを入力するものです。 これらの入力を集めたものが電子ログブックとなります。
次に、このアプリケーションでは、毎年すべての工場の提出記録の要約を作成しなければなりません。 各記録の要約を検証、認証し、掲示する必要があります。 特に、重篤な事象については対応する国の規制機関に報告する必要があり、その提出状況を把握する必要があります。 これらの記録タイプの報告は個別になされます。 傷害記録、年次要約、提出内容を組み合わせた記録のリストは必要ありません。 ただし、要約は傷害記録を集めたもので、提出内容は傷害記録から作成されるため、傷害記録の情報が要約や提出内容の報告に含まれていると考えることができます。
以下の表は、その要件を示しています。
プロセス | 説明 |
---|---|
傷害/疾病の記録 |
ガイド付きのダイナミックなデータ入力手順。 |
申請 | 重篤な事象については対応する国の規制機関に報告。 その進捗状況を追跡する必要があります。 |
年次要約 | 各工場につき毎年の記録を要約。 それを検証、認証、掲示する必要があります。 |
このアプリケーションをサポートするケース構造を設計します。
ソリューション
サブケースの関係がない、3つの個別のケースタイプを特定できます。
- 障害および疾病は、病気や怪我の事象ごとに記録します
- 年次要約では、各工場の年度末の報告を作成します
- 提出内容は、規制当局に報告しなければならない事象を記録します
ディスカッション
年次要約は、単純な報告書の形式です。 それでも、ケースを作成する必要があるのは、要件に報告書の提出状況を把握する必要があると明記されており、専用のプロセスが必要なことが示されているからです。 さらに、報告書に定性情報を含める必要があります。 元の内容は報告書から派生させる場合がありますが、この内容は固定的に永続する情報にする必要があります。
要件には、提出プロセスと提出ごとの状況を把握する必要があると明記されているため、Submissionケースを作成します。 Submissionの管理は、元の傷害記録とは別に行い、個別のケースとして保管するのが最適です。
Submissionは、Injury Illnessのサブクラスであると考えることができますが、Submissionは障害疾病のタイプではありません。 Submissionは、Injury Illnessケースから作成されるケースです。 Submissionは、Injury Illnessのサブケースではありません。Injury Illnessは、Submissionプロセスの完了に依存しないからです。
このトピックは、下記のモジュールにも含まれています。
- ケース構造設計 v2